阿房列車

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「なんにも用事がないけれど、汽車に乗つて大阪へ行つて来ようと思ふ」

内田百間さんの「あほうれっしゃ」です。 以前からそのタイトルが気になっていたんですが、なかなか読む機運(!?)に恵まれず。 気が付くとこれを原作にしたマンガも出ていたのを見つけ、取りあえずマンガを読んでみると... 面白い。 文庫本も入手して読んでいる最中です。 ホントに「行く」事が目的で、かといって道中の事よりもそれに関連する事の方が多かったりしますが、所々に出てくる車窓からの描写は、少ない言葉なんですが、それだけで情景が目に浮かぶのは流石です。

では、その阿房列車、僕も運転してみましょう。
「なんにも用事がないけれど、汽車に乗つて吉祥寺へ行つて来ようと思ふ」

img002.jpg隣駅なので、ショート トリップです。

新宿仕立て(阿房列車風)の かいじ に乗るべく三鷹駅へ。 人身事故の影響で30分程遅れて電車が到着した。 甲府駅までは何度と無く通っているところなので車窓は新鮮味も無い。 前日の天気予報では雨模様だと思われが当日は晴天。 雨中の列車で濡れずに移動出来る優越感が心地よかったりするので、少々残念な気持ちだったが、そんな事はお構いなく かいじ は甲斐路へと進む。

30分遅れで甲府駅に到着。 近くのイタリア レストランで昼食。 若鶏のコンフィが美味だった。

甲府からは ふじかわ で静岡に向かう。 電車はデッキの無い車両で開けっ放しのドアから蒸した空気が車内に流れて来て車内も蒸し暑い。 定時に発車した ふじかわ は甲府盆地内をこまめに停車しながら鰍沢口へ。 この駅から先は甲府盆地が終わり左右に山が迫る山間部を進んでいく。

波高島駅から右手に富士川が見えてくる。 梅雨時とは思えない太陽の強い光が川面を照らしキラキラと輝くが、川のせせらぎは空調の効いた車内までは届かず、それが何か人工的な車窓に環境映像を映している様にも見えた。

電車は、身延線上りを富士方面へ快調に下っていく。 右手に富士川が見えなくなり山間部を暫く走ったかと思えばいきなり右手が開けて住宅街が眼下に広がった。 富士見市街地だ。

山間部の曲がりくねった線路から市街地に入っても相変わらず曲がりくねったまま ふじかわ は進む。 大きく左カーブした後、富士駅に到着。 ここで方向転換して静岡を目指す。

ここから先は何回か通った東海道線ではあるが何れも寝台列車で夜中に通っていたので外の風景は余り知らず新鮮な気分で太平洋を眺める。

定時に静岡駅に到着。 暫しの待ち合わせで新幹線 ひかりへ乗車。 うつらうつらしていたら、あれほど良かった天気もいつの間にかどんよりとした梅雨空に戻っていた。

... マネしてみましたが、なかなか難しい。 キップは見ての通りこの程度の経路なら えきねっと で発券出来ます。 3分で行けるところを7時間かけて行ってみました。

内田百間さんは中央方面には行っていなかった様です。 気になる列車も地方も無かったんですかねぇ。