「周囲音が聞こえるイヤホン」という基本的なコンセプトでも全く異なる2つの製品を使い比べた自分なりの所感を。 自分は通勤途中の歩いている間に使っています。通勤は電車+徒歩ですが、電車内はカナル型のイヤホンを使っていて、カナルを使いながら歩いている時の「ボコッ」という音がイヤなので、これらを使い始めた感じです。(あと、食事時の自分の咀嚼音が響くのもイヤ)
先ず先発の sound earcuffs。 構成は、ダイナミック スピーカから出た音を耳の方へ流し込む様な感じ。 おおざっぱな音の感じは「喫茶店」です。 決して「カフェ」ではありません。 ちょっと古めな喫茶店で流れている様な音の感じ。 低音が余り出ていなく高音は程々。 買った当初は変なピークみたいのがあって聞き苦しい感じも受けましたが、使っているうちに無くなった(耳が慣れた)のか耳ごごちの良い音になってきました。 装着は耳の形にも依るんでしょうけど自分の耳では片手装着は無理で、必ず両手で行う必要があり、耳の調子(!?)に依っては両手でも難儀します。 音が出てくる部分 - イヤーチップ - が別パーツになっていますが、使っているうちに本体から外れ易くなってきて耳から本体を外す際に外れて見失いそうになります。 自分は両面テープを貼って外れない様にしています。
本体が小さいことからあまり意味がないのかもしれませんが、earcuffsを着けたままカナル型イヤホンを着けることも可能です。 自分はSONYのXBA-20で出来ています。 そんなの必要無いじゃんという声も聞こえて来そうですが、歩き→電車→歩きな通勤だと歩きはearscuffsで電車の中はXBA-20を使いたい場合に、earscuffsを外さないで使うことが出来ます。
対してEarsOpen。 こちらは骨振動を利用しています。 ただ、「骨振動」ではなく「軟骨振動」を利用しているみたいです。 調べるに軟骨振動は骨振動よりも伝わる周波数特性が良いようです。 「耳掃除のガサゴソ音」が軟骨振動らしい。 軟骨に当てないと上手く聞こえないんですが、これがなかなか難しい。 耳の形がもろに影響するので、自分の耳にあった装着を試行錯誤することになります。 自分も試行錯誤しました。 今のところ、ユニットを垂直に装着するよりも少し斜めに装着した方が聞こえが良いようです。 耳の当たり具合にも左右されるんですけど、絶対的に音圧感が足りない。 普通のスマホでは小さな音しか出ないか、音が割れます。 自分の持っているスマホは全てダメでした。 音が割れなかったのはWalkmanのNW-A867とNW-ZX2。 それでも最大音量でギリギリの音圧です。 たぶんインピーダンスが低い(8Ω)ので並のオーディオ出力ではドライブし切れないのが原因だと思うんですけど、スマホにそれを求める仕様が間違っている気もします。
ポータブルアンプとかかませば良いんでしょうけど、自分はBluetoothレシーバでオーディオアンプ内蔵のELECOM LBT-PAR500AVを見つけて購入。 これは100mWx2のアンプ内蔵で、EarsOpenを余裕で鳴らします。 ウルサい位鳴らせます。 ただ、LBT-PAR500AVのボリューム操作で接続元本体のボリュームが操作されてしまう場合と、本体ボリュームとは独立して操作出来る場合がある様で、当然、独立して操作出来る方が音量が取れるんですが、それはスマホ次第の様です。 自分の手持ちでも同じASUSで、独立と連動だったりしました。
ベストな装着位置を見つけ、余裕のあるアンプでドライブしたEarsOpenの音質は結構良い感じ。 音も軟骨振動であるからか、かなりダイレクト感があって、耳の外で鳴っている感が少ないです。 ただ、ユニットが大柄で重量もそれなりなのをクリップで耳に留めているので、いわゆるイヤリングなわけです。 耳に違和感を感じます。 また、それなりに音量を上げると耳が震えて妙な感じでもあります。
音漏れは、EarsOpenの方が少ないようですが、どちらもあります。 それなりに音楽を聴きたい音量まで上げると、両方とも電車の隣に座っている人がなんの曲か判る位にもれます。 これらのイヤホンは「音楽に浸る」のは不向きです。 あくまでも「音楽を流す」イヤホンです。 周りの音が大きい時は音楽が聞こえないのが正しい使い方だと思います。
んで、どちらが好みかと聞かれると、現状ではearcuffsの方が好みです。 「音楽を流す」というさりげなさが、装着感、音質的に頑張ってない感がマッチしていると思います。 EarsOpenは軟骨振動という面白いところを突いたモノですが、使い勝手に難があり、それを乗り越える必要があります。 EarsOpenはクラウドファンディングで作成されたものなので、earscuffsと同等に比べるのは酷かもしれませんが、普通に両者が並べて販売されていて、どちらか迷うのであれば、earcuffsかなと。 EarsOpenは新デバイスを使いこなすのを楽しむ感じですね。
何れにしても、現状カナル型とかで音楽浸りまくりな人が「外の音も聞けて良いじゃん」とか思って手を出すと、落胆は必至です。 イヤホンとしての方向性が全く違います。 そこら辺を理解した上で使うと通勤のみならず、お散歩でも「良いお供」として働いてくれると思います。